Saturday, April 3, 2010

インドを忘れるなかれ!Don't Forget About India- Prime Minister Singh's visit was almost eclipsed by the silly Salahi storyーBy C.Hitchens



インドを忘れるな! シン首相の訪米はパーティー闖入者夫婦の馬鹿げたストーリーで殆どかき消された… (2009,11/30 By クリストファー・ヒッチンズ

 軽侮に値するサラヒ夫妻 (*先日の、オバマ大統領のホワイトハウスの晩餐会に招待もなく闖入し、メディアの注目を浴びた目立ちたがりカップル…)に関する報道は、ジャーナリズムを生業とする者の一員であることを、二つの意味で恥だと感じさせた── その一つ目とは、大量のインクや放送時間がこの、安易に報道可能な「突発ニュース」のストーリーに費やされて、多くの報道メディアがこのカップルに最初の「独占インタビュー」を請うことで、自らの尊厳を傷つけたことだ。そして、二つ目のより顕著な理由とは、米国を訪れた重要なゲストに対して重大な無礼を働いたことだ。グレシャムの法則のジャーナリスティックなバージョンにのっとり、ジャンク報道が真面目なジャーナリズムを駆逐して…そしてインドのマンモハン・シン首相の訪米は、この愚かなナンセンス劇で殆どかき消されてしまった。そんな事はいつ起きてもまずかっただろうが、しかしこの訪問とは、特に重要なものだったのだ。それは、イスラム過激派によるムンバイのテロ事件‥〔パキスタンだけが、幾人かの自国の人間をようやく法廷で裁き始めたばかりの事件〕から、一周年に程近い時期に起こった。我々は、アフガンの新戦略に関する討論が主要テーマとされる、ディスカッションの週に入っていたが、インドとインド国民に関する考察を、屑のごときパーティー闖入者のためになされた考察の100万分の1にしか割かなかっのだ。。

 月曜日にニューヨーク・タイムズが掲載した広範囲に及ぶ記事とは、火曜夜にオバマ大統領がウエスト・ポイント海軍士官学校で行ったスピーチの輪郭をなすものと思われる、外交筋からの深いバックグラウンド情報に基づくものだった。その明瞭なパラグラフには、このようにある:

 オバマ大統領の構想する、米国が派遣したアフガンの追加兵力部隊が集結した後に…いかに段階的に撤退していくべきかの計画案の、詳細なブリーフィングを受けた同盟国の政府関係者のひとりはこう言った─その構想では、アフガニスタンでの顕著な米軍の駐留が長期的なものになるという事が、明確化されていたと。その構想にはまたパキスタンに対して、米国がこの地域を諦めたりしないというシグナルを送り、米国の撤退した後にインドがその空隙(真空状態)を埋めることへのパキスタン人らの怖れを宥めようとの狙いもあった─

 そうした解釈が正しいのなら、それは最近、Stanley McChrystal司令官が発表したレポート〔…米国内在住の軍幹部たちが、アフガンにおけるインドの影響力について語っているもの〕の内容とも、一貫している。シン首相の訪問とは、この地域内での米国による戦略の'パキスタン化'の傾向の拡大が…賢明な、または正しい傾向であるかに関する活発な、オフィシャルな議論の機会であるべきだった。

 インドは911よりもずっと以前から、タリバンには反対し、北部同盟を支持してきた。そしてタリバンの敗走後には、国の再建に巨大な援助を行ってきた。同国、はこの地域での巨大な諜報ソースとして、それ自身がしばしば‥我々の戦う相手と同じ勢力の者達による、攻撃のターゲットとされてきた。その国民議会─多種多様な民族から構成される民主主義的な議会…Lok Sabhaは、2001年の秋に大掛かりな車両爆弾のターゲットとなり、また同国のカブールの大きな大使館は、タリバンとアルカイダの同盟勢力による特別な注視の対象となり…そして勿論、我々はムンバイでのテロを忘れるべきではないのだ。我々はインドの、インド亜大陸における巨大な経済・軍事力が、その定期的な選挙システムや、報道の自由、パキスタン国内のイスラム教徒とも同数に近い同国の)イスラム教徒がその元で暮らす世俗的憲法、そしてシリコン・バレーにまで進出して英語を話すビジネス階級の存在に伴われている、ことも忘れるべきでない。

 パキスタンという国は、その発端から「失敗」という呼び名で弄ばれてきたのだが、彼らにとってはインドを同じような言葉で語ることは不可能だ。インド国境、カシミール地方の前線の同国の駐留兵力は、大きな躊躇によってのみ撤退させられるだろう。…圧倒的に強力な、パンジャブ出身の軍人たちに支配された軍隊には、敵対という執着観念しかない。
この同じ軍隊はその次なる執着観念を隠そうとはしない…つまり、カブールにおける親パキスタン的な政権の樹立だ。(このような目的もまた、パキスタン人のアフガニスタンに対する、インドとの戦いにおける戦略的縦深性 "strategic depth”への願望からきている)
 アフガニスタンの最初のタリバン化、というものはそれ自体がパキスタンの諜報機関Inter-Services Intelligence、あるいはISIの公けのプロジェクトであったし、そしてCIAは過去8年間を通じてそれを容認し続け、またはいくつかのケースで、周知の事実を再発見し続けてきた:タリバンがパキスタンの同じ高度な諜報機関から、未だに隠れもない援助を受け続けてきたという事実を─

 この、"war on terror"(対テロ戦争)におけるパキスタンのエリート層への巨大な(米国政府による)資金補助は、かくして、一部は我々の戦っている相手の勢力への支援金に、また一部は、彼らに停戦の振りをさせる為の賄賂に用いられている。ところで、パキスタンの報道機関と教育システムの残り滓というものは、実質上、反米・反ユダヤ的なプロパガンダを大量生産し、その国民に、真の敵とは民主的で世俗的な西欧世界なのだと納得させるマシーンなのだ。そしてそれらの最上部にいるのとは、この国の「国民的ヒーロー」のA.Q. Khan博士…長年に亘って核のブラック・マーケットを政府の協力のもとで動かし、核分裂物質をリビアや北朝鮮のような国々と分け合ってきた人物だ。それでもオバマ政権は、この危機に対する戦略を述べる際、「Af-Pak」というような限定された愚かな略称から外に出ることはできていない。…そのように両国を対のものと見なし、インドを除外することで、政治的・軍事的プランナーたちは自らを視野狭窄に陥らせ、そしてこの地域で我々の大きな同盟者となるべき国のハートをも失望させている(他の目的でも…例えばますます見境いのなくなる中国に対する対抗勢力として、同国を据えるといった意味においても)

 喉をかき切り、学校を焼き払い、女性を石打ちの刑で殺すタリバンたちは、パキスタンとアフガニスタンの村人たちを深夜遅く訪問することで…ひとつの大きな心理的アドバンテージを得ている。「いずれ、アメリカ人とヨーロッパ人はこの地を去る」と彼らは言う、「しかし我々は、常にここに居続ける」のだと。…そこには幾らかの真実がある:この国で行われる議論の多くがいまや、"exit strategy“(撤退戦略)に関する議論だからだ。そして、彼ら(欧米人)のやってきた良き行いの全ても、他のNATO軍の兵力の殆どの非常時部隊らも、もう既にこの国を後にしているのだ。しかしもしも米国が、ニュー・デリーの勃興しつつある巨人と経済的、軍事的そして政治的な同盟を結ぶならば、我々は空威張りすることなく、この地域での我々の存在を長期的に揺るぎない、不変のものにすることができる。それはさらに一層、相互的な友好関係と共通した価値観によって支えられて、賄賂や甘言によって卑しめられることは少ないものだ。そして、パキスタンのエリート層は、どちらが彼らの本当の敵かを決めなければならない:タリバン-アルカイダ同盟か、それともインド-アメリカの同盟かを。そこにはこうしたタイトルの元で、より多くの議論すべき事柄があるのだが…しかし今はまず、この最新のタレクとミシェルのゴシップを伝える報道のスタジオに戻ろう…。
http://www.slate.com/id/2236951

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